おじゃぷろの"とりま"

おじゃぷろがミニ四駆や趣味について”とり”あえず、”ま”とめておくブログ

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モーターを慣らしながら測ってみたら、良い判断ができそうなデータが取れたよ

こんにちは、おじゃぷろです。

 

レーサーになってから度々モーター慣らしを研究してきましたが、経験的に知っていることを客観的に見たかったり、これって本当なの?どれぐらいの確率なの?という疑問があり、そもそもどんなことに直面しているのも気になったので18個のマッハダッシュモーターPROを慣らしつつ、計測して時系列にまとめてみました。

 

docs.google.com

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1G-0Yrcn8TXUi9ZG6HCUOlkH1hQE2uTcs-aAtnB9MV6w/edit?usp=sharing

 

また、モーター慣らしの時系列データは公開しておきますので、特に許可なく軽率に活用いただけます

 

目次はこちら

 

モーター慣らしの時系列データについて

モーター慣らしの時系列データについて、まえがきがあります。

このデータはあけぽん~寿命の”モーターの生涯”を含むデータですが、「出力の大きい状態の知見を得たい」目的のため、モーター出力が全体的に不安定になった慣らし時間78時間~90時間は12時間単位での計測、90時間~は計測終了し、生涯を終えたとしました。

最大トルクは簡易的な手作り計測装置を用いているので、ある程度誤差はあると思われます。同計測環境での傾向を見る程度の認識で御覧ください。

今回計測に用いたマッハダッシュモーターPROのロットは2022年4-5月にAmazonで購入できたロットです。個体数は18個です。

”慣らし時間が何10時間”という表記があり、そんな長い時間慣らせないよと壁を感じるかもしれません。そんな時は寿命を迎えるまでの”モーター内部の変化の程度”を示していると解釈ください。その上で、各々のモーター慣らし環境にあわせて酌量ください。

 

時系列データからどんなことがわかったの?

回転数の期待値や、生涯最大回転数の分布、最大トルクの遷移など、

モーター慣らしをしている際、引き続き慣らし続けるべきか止めるべきかを判断するうえで有用なこと、高回転モーターを得たいがコストを掛けたくないための妥協点を探るために有用なことです。

 

問1 モーター慣らしでどれぐらい速度アップの期待ができるの?

各モーターの回転数が最も上昇した時の増分をまとめると平均+2967rpm(※)でした。22000rpmぐらいのモーターなら25000rpmぐらいまで平均して上がる期待ができます。また、慣らし時間30時間ほどまではどの個体でも均一に慣らせそうです。その後は個体ごとの”慣れ”のばらつきが大きくなり、回転数が減る個体の割合が増えていきます。

慣らし時間30時間を超えて回転数が下がったらそれ以降は期待できなさそうです。

※時系列データ「モーター慣らしによって回転数が上がった最大値と期待値」を参照

 

 

問2 トルクを残す慣らし方はあるの?

特別なことをしない限り、基本的に残るようです。

慣らしの過程で、慣らし開始時より最大トルクの減少傾向が見られました。

その後、慣らし時間24時間で回復を始め、慣らし時間60時間時点で平均が慣らす前のトルクを上回りました。

 

トルクに影響する磁石の磁力が上昇したり、コイルの状態は変わらないので、察するに初期の”慣れ”によってブラシの接触面積が多くなり接触圧も高いままのため抵抗が一時的に多くなり、最大トルクが一時的に減った。その後”慣れ”が進行してブラシの接触圧が低くなり抵抗が減った、結果的に最大トルクが上昇したのだと思います。

なので、モーターが持っている(抵抗がない状態の)トルクは変わらないと推察しています。

 

問3 電池が垂れないモーターって意図的にできるの?

できます。慣らせば慣らすほど消費電流は下がっていきます。

時間に比例して消費電流が下がっていく傾向が見られたので、電池が垂れにくいように消費電流を下げたければ、慣らし続けることが重要のようです。

 

問4 ところで、SNSで見かけるやたら回転数の高いモーターって何?

察するに、下記のどれかだと思います

  • 偶然できた個体値の高いモーター
  • 磁石が弱くなり高回転化したモーター
  • 進角がズレたモーター

普通に慣らして高回転なモーターは、偶然できた個体値の高いモーターかと思います。その場合、生産時に磁石が既定品質に近ければ、回転数が多くトルクあるモーターです。

慣らしや使用状況・保存状況によって熱ダレや強力な磁石の近くにあったなどで、磁力が弱まって、低トルク・高回転化するモーターもあります。事前に最大トルクを測っておけば、低トルク化したか、そうでないかは見極められると思います。

生産品の中には進角がズレた個体があるようです。一方で進角を意図的にずらすことで、回転数を大体3000~6000rpmほど上昇させることができます。しかしその性質から、低回転域のトルクが減るようです。

どちらにせよ、進角は回転数に影響があります。

 

問5 回転数が多くトルクのあるモーターってどれぐらいの確率で出現するの?

非常に低いと思われます。2.8v計測で33000rpmを超える個体は見つかりませんでした。

また、31000~33000rpmの中に約78%の個体が含まれており、低回転側になるほどなだらかに個体はありますが、33000rpm以上の個体が無いことを踏まえると、高回転側の品質には上限があるようです。

また、前回公開した4つの個体を含め、33000rpm以上の個体は全22個体に対して1つでした。(つまり約4.5%)仮に22個中1個が確率どおりだとしたら、33000rpm以上の個体1つを得るための金額の期待値は10560円(480円x22)になります。更に高回転を目指すなら更に厳しい確率になりそうです。

モーターガチャはこのような確率的コストを背景にしています。

 

その上で、各々のお財布と相談しながらモーターにどれぐらい投資するか決められると良いかと思います。

 

問6 私は3.0Vで測っているんだけど、比較できないの?

おおよそであれば比較できます。

仮に33000rpm/2.8Vであれば、3.0V、3.2Vではだいたい下記の変化になります。

想定ケースも併記しました。

 

37100rpm/3.2V(2.8V比1.124倍) → 新品のアルカリ電池ぐらい

35300rpm/3.0V(2.8V比1.07倍) → ニッケル水素電池を充電したて~数分置いたぐらい

33000rpm/2.8V → ニッケル水素電池を充電してしばらく置いた時ぐらい

 

書いてある慣らし方でなければダメ?

そんなことはないです。各々の環境によって電圧や回転方向・時間は様々です。

しかし”慣らし”を続けたモーターの過程はおおよそ似通っていると思います。

 

まとめると?

  • 慣らし時間30時間までは回転数を上げるために慣らし続けてOK。
  • トルクは一旦減った後、慣らし時間24時間ぐらいから回復しはじめる。トルクを妨げる抵抗のせいだと思われる。
  • 慣らせば慣らすほど電池が垂れにくいモーターになる。
  • たまに見るSNSのやたら高回転なモーターはいろいろな状態が想定できそう。
  • 最高回転数が33000rpm/2.8V以上になる個体はたったの4.5%だったし、確率通りだとしたら獲得するための金額の期待値は10560円。

 

 

ということで、今回はモーター慣らしの時系列データから経験的に知っていることを確かめたり、推察をしてみました。

 

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ではまた、よろしくでーす